あしたのコウヘイ

罪を犯した若者とユウジ消臭とのお話

コウヘイ様と真実のお面談

そもそも、知らない人と正面に向かい合いお話するて不自然だよね

 

ボクシングでも対戦相手は知っている

長年連れ添った気の知れた奥さんでも目の前にドッシリ座られるとピリッとするものなのに

ましてや目の前にいる対戦相手は何かしら社会に迷惑をかけただろうとされる人

 

絶対大丈夫、自分を信じろ

考えし得る作戦は全て考えた

もう逃げ場なんてないのだ

突撃しか残されていないのだ

 

このヤロー

 

冷たい椅子に腰を下ろすと同時に、無音のゴングが鳴り響く

 

試合直前に俺は心に固く決めていたのだ一気にたたみかけると

全ての体力を使い切る覚悟での1ラウンド勝負

2日間精神をすり減らしすぎている事は自分自身が一番知っていた

2ラウンド目は無い

 

コーナーから勢いよく跳びだした瞬間

 

丸二日考えに考えた面接ストーリーは

天高く吹き飛び跡形もなく粉砕されていた

 

ジーザス

 

渾身のストレートを受けていたのは俺だった

 

「お話は聞いていると思います、警察に捕まり裁判中なのに」

「今回面接をしてくれまして、本当にありがとうございます」

「状況もですが、収監される可能性が高く数ヶ月ぐらいしか働けません」

「面接していただくだけでもありがたいです、本当に断っていただいても結構です」

 

開始早々リングに大の字に倒れ込むのは自分だと気がつくのに時間がかかった

カウントは無情にも始まっている4、5、6、

8で立ち上がり、なんとかファイティングポーズを構えなくては

気力は残っている、足は動く拳を固く握りしめろ

 

まだ何もしてはいない、せめて一発だけでも

 

「何で捕まっちゃったの?」

 

瞬時に確信を突いた、えぐり込む様なボディーブローを放つ

これは効いただろうと笑みを浮かべながら相手の表情を確認するも

 

 

 

「詐欺罪です」

 

最高のタイミングでカウンターを入れられいた

 

2度目のダウン

おならだと信じ、力んだ拍子に身が出てしまったほどの衝撃

 

 

見上げている天井には昭和の匂いを感じる和風のライトに

一本の長い蜘蛛の巣がはっている事に気がつくのであった。

 

 

 

 

次回は、コウヘイ様はロマンチック